夫婦で音楽活動をしていると、
「夫婦で一緒に音楽ができるなんて、理想的ですね」
と言っていただくことがあります。
僕たちにとっては、もうそれが当たり前になってしまっているので、まず「これを理想だと思ってくれる人がこんなにいるんだな」ということに少し驚きます。
そして同時に、ありがたいなと思います。
こんな活動ができていること自体、自分はすごく恵まれているんだなと、そう言ってもらうことで改めて気づくことがあります。
もちろん、本当に幸せだと思っています。
ただ、最初から今のように二人で自然に音楽をやっていたわけではありません。
Nahoさんとの出会い
Nahoさんと出会ったのは、今から10年ほど前。
僕が大学を卒業したばかりの23歳くらいの頃でした。
実はNahoさんの方がミュージシャンとしては先輩で、当時の僕とは全然違うステージで活動していました。
やっていた音楽も違います。
僕はフュージョン。
Nahoさんはニューオーリンズジャズ。
だから、最初は一緒に演奏するような雰囲気でもありませんでした。
それ以上に、当時の僕自身がすごく焦っていたんだと思います。
変なプライドもあって、Nahoさんと自然に音楽の話ができるようになるまで、本当に時間がかかりました。
一度、一緒に僕の地元の佐賀へ帰る機会があって、
「せっかくだから一緒に演奏してみよう」
と、二人でデュオをやったことがあります。
でも、その時は全然息が合いませんでした。
今は、二人で演奏する時にカウントを取らなくても、自然に合わせることができます。
あの頃の二人から考えると、本当に随分変わったなと思います。
二人で本格的に演奏するようになったのは、今から5年くらい前です。
当時、Nahoさんは一時的にプロミュージシャンとしての活動から離れている時期がありました。
一方で僕は、家でYouTubeを撮ったり、オンラインスクールをやったりしていました。
ある時、ギタリストの有賀教平さんを家に呼んで、セッションをしたことがあります。
その時、Nahoさんは寝室にいて、その音を聴いていたらしいんです。
そして後から、
「素晴らしいギターが聞こえてきた」「私もこういうのに混ざってやってみたいな」
と言いました。
その一言を聞いて、
「あ、それだったら一緒に演奏できる形を作れるかもしれない」
と思いました。
そこから、Nahoさんとも雰囲気が合いそうなミュージシャンに家へ来てもらって、僕とゲストとNahoさんの3人で演奏するような機会を少しずつ作っていきました。
そのうち自然と二人でも演奏するようになって、曲も一緒に書くようになりました。
今ライブで定番になっている「Tokyo」「Moyu」「Kyoto」といった曲も、Nahoさんと一緒に作った曲です。
夫婦で音楽をやっていて一番良かったと思う瞬間は、やっぱり二人で作った曲をお客さんの前で演奏して、それに感動してもらえた時です。
僕一人では浮かばなかったアイデアやコード感が、そこにはたくさんあります。
Nahoさんの凄いところ
Nahoさんは、最終的に気持ちいいかどうかで音楽を判断するタイプです。
僕は昔、かなり逆のアプローチをしていました。
理論的にどうなっているか。
どういう手法を使っているか。
プロセスそのものに傾倒しすぎて、その方法を使っていること自体に満足してしまうこともありました。
でも結局、最後に鳴っている音が気持ちいいかどうか。
その感覚をNahoさんから教えてもらったことで、自分にとっての「音楽的な正解」の定義はかなり広がったと思います。
仕事仲間としてNahoさんを尊敬しているところも、そこに近いかもしれません。
人間関係でも、音でも、僕よりずっと多くのことに気がつける。
そういう繊細さを持っています。
僕自身は気がつかずにそのまま進んでしまうことも多いのですが、Nahoさんは小さな違和感に気がつく。
なので自分の判断に自信がない時は必ずNahoさんに聞くようにしています。
「この動画のタイトルなんだけど」
「この曲はここからこういう展開にしようと思うんだけど」
そんな時にNahoさんが、
「いいじゃん!」
と言えば、
「あ、自分が思っていたよりちゃんといい感じなんだな」
と思える。
逆に、Nahoさんが不可思議な顔をしている時は、だいたいどこかに違和感があります。
正直ちょっと悔しいんですけど(笑)、その感覚を信じて直したりします。
逆に、僕がNahoさんの音楽活動に何か与えているとしたら、
「一緒にやろうよ」と言ったことなのかなと思います。
Nahoさんの中にもともとあったものが、世の中に出ていくきっかけを作っているだけなのかもしれません。
最近はNahoさん自身のYouTubeチャンネルもたくさんの人に見てもらえるようになってきました。
もともと本当に素晴らしい才能を持っている人なので、僕はこの結果も当然だと思っています。
これからもっとNahoさん自身の音楽が、たくさんの人に届いていくと思います。
でも昔の僕だったら、こういうことを今ほど素直に思えなかったかもしれません。嫉妬もあったと思います。
今は、本当に自分のことのように嬉しいです。
子育ての苦悩と音楽活動
一方で、もちろん大変なこともあります。
むしろ、僕たちの場合は音楽上の意見の食い違いよりも、家庭で起きていることを音楽の現場に持ち込んでぶつかる方が圧倒的に多いです。苦笑
特に、子供が生まれてからは本当に試練の連続でした。
僕たちは、子供が生まれるまでは喧嘩をほとんどしたことがないような、かなり平和な夫婦でした。
でも子供が生まれると、人生のフェーズそのものが変わります。
そして僕には、その準備が全くできていませんでした。

